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2011年3月に関東で被曝しました。
被曝者として放射能に関する情報や思うところを書き留めます。

2016年2月16日火曜日

福島の小児甲状腺ガンについての公式見解を読み解く 

福島の小児甲状腺ガンについての公式見解を読み解く 



甲状腺癌が見つかったのは「スクリーニング効果」の結果であるとすれば、このことから、不必要だった手術という妖怪が呼び出される。
東京大学大学院医学系研究科の渋谷健司教授は2014年6月10日、福島県「県民健康調査」検討委員会・第3回「甲状腺検査評価部会」に出席し、見つかった甲状腺癌が「スクリーニング効果」の結果であるなら、症状が出るまでは、手術すべきでないと多くの専門家が考えていると主張した。手術をすると、心身両面の傷を残すし、その後の一生、ホルモン療法も必要になる。福島医大は、腫瘍のサイズ、リンパ節や遠隔臓器への転移、反回神経や気管との距離など、外科徴候にもとづいて、手術の可否を判断していると主張する。しかし、渋谷が、癌が反回神経まで拡張して、声が出なくなった子どもは何パーセントになるのかと質問すると、鈴木は、これは個人情報なので、「プライバシー」保護の観点から、公表するわけにはいかないと応じた(注32)。要するに、結論は公表するが、結論が依拠しているはずのデータはダメというわけだ。
さらに最近の2014年8月28日、鈴木は第52回日本癌治療学会学術集会で講演をおこなった。彼は、54例の手術のうち、45例で直径10ミリ超の腫瘍またはリンパ節か他の臓器への転移があり、うち2例は肺への転移だったと明かした。残りの9例のうち、7例は[腫瘍が]気管に近接し、2例は本人や家族の意向に応じたものだった。しかし、鈴木はまたもやリンパ節転移の症例数と症状のある患者の数の公表を拒んだ(注33)。

どうやら鈴木は、キャッチ22[あちらを立てれば、こちらが立たず式のジレンマ状況]に陥っているようだ。鈴木が言い張るように「スクリーニング効果」のせいで検出されたに過ぎない、症状のない甲状腺癌の子どもたちに不必要な手術をしているのか、あるいは、その子どもたちに症状があり、スクリーニングをしなくても、ほどなく受診しに来るはずなので、「スクリーニング効果」説明の真っ赤なウソが露呈するのか、そのどちらかである。もっと単純明快にいうなら、「スクリーニング効果」であれば、手術するべきではない。手術するべきなら、「スクリーニング効果」ではない。